2011年12月1日木曜日

エドワードグリーン購入記1 チェルシー試し履き

スーツをあまり着ない。仕事柄、ふだんはデニムにスニーカーという組み合わせで1年のほとんどを過ごしている。最近はドレスシューズを履くことがあまりないのだが、11月のある日たまたまインナーウェア購入のために立ち寄ったイセメンB1で、ついでにと紳士靴売り場を徘徊しうっかり長居。あれこれ試し履きをするうちに、ぼちぼちよい革靴が似合う歳にもなったし、ひとつ買ってみてもいいんじゃないかという気になってしまった。悪いことに、どうせ買うなら良いものを長く使おうという浪費家癖が出て、身分不相応なエドワードグリーンに恋してしまった。もっとも、ぼくは革靴の善し悪しがわかるわけでもなく、これまで3足履き潰したオールデンの無骨さと比べ、目の前のキャップトゥ「チェルシー」がとにかく繊細でスマートで美しく見えただけなのだ。加えて、グリーンの売り場は専用コーナーだから、浮かれて気分的にも高揚する。店員に勧められるまま足の長さを計ってもらい、チェルシー・ダークオーク、202ラスト、サイズ6のEウィズに足を入れてみた。ダークオーク、つまりこげ茶色のチェルシーはオンでもオフでも使い回せる、おすすめの色だそうだ。たしかに、どうせ買うなら黒じゃないだろう。靴紐を締めて両足で立ってみる。するとどうであろう。靴は足と一体となり、足に吸い付いてくる。それはもう脱ぐことができないのではと思うほどだ。このままコレくださいと言いそうになったが、いちどチェルシーを脱いで、冷静になるために他の靴もチラチラのぞいてみる。すると、素人目にも革の質や細部の作り込みが値段相応であることがわかる。こうなると、7、8万の革靴が安物にも見えてくるから恐ろしい。グリーンは高いけど、ほかとは圧倒的に違うのだなどと、高級靴を買う理屈を考えて自分を納得させる。ただ、13万円を超えるお買い物。インナーだけ購入し、この日は興奮を隠すようにそっとイセメンを去った。衝動買いをしなかったのは奇跡である。休日の雑踏を行き交う人の足もとが気になる。あんなに美しい靴を履いている男は、新宿通りにはほとんどいない。帰り道、ぼくの頭のなかはエドワードグリーンをいかにして買うか、でいっぱいなのであった。

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